「Mimitsu meets me.」への道【1】

宮崎キャドセンターの臼井です。
際立った特徴のある物件を、私は敬意を込めて「クセ物件」と呼んでいます。
そして更にその「クセ物件」には、キャッチーなタイトルを付けることにしています。
日向市美々津の伝統的建造物群保存地区(以下、伝建地区)内の高台にあるこの物件も、古民家のまちなみの中にあることや、日向灘を見渡せる眺望、石垣で造られた擁壁を併せ持つことから、クセ物件として何かいいタイトルが無いものかと考えていました。
タイトルを付ける際に特にこだわっているのは、時には字面だったり、時にはタイトルの元ネタとのつながりだったり、時には物件の特徴を分かりやすく凝縮することだったり・・・と色々なのですが、今回に関しては「口にした時の語感」に重きを置いた・・・というよりは、思いついた瞬間、「これしかない!」という感じでした。
ということで付けたのが「Mimitsu meets me.」というタイトル。なんと、「み」と「つ」のみで構成されているんですねー。「みみつみーつみー」。口に出すとすごく気持ち良い。しかも、意味も通っているんだから、あら不思議。「meet」は単純に「会う」とも取れるのですが、ここでは「満たす」という意味で考えてもらえると嬉しいです。
Mimitsu meets me.=美々津は私を満たす。
色んな要素を含んでいるこの土地にピッタリなタイトルじゃないかと自負しております。
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そんな、「Mimitsu meets me.」なんですが、不思議なご縁があってご紹介するまでに至りました。
はじまりは、美々津での最初のお仕事となった「旧・矢野家」の売買が成就したことをご報告しに、協力してくださった住民の方に挨拶に行った時でした。
「あのね~、あそこに空き家があるっちゃけど、どうにかならんやろか?」
聞けば、その空き家の元の所有者のMさんは7年程前に亡くなられて、お子様がいらっしゃらなかったため姪御さんが相続されたそう。
しかし、その姪御さんは遠方に住んでいらっしゃるため、残念ながら管理が行き届かない。
建物には蔦が生い茂り、綺麗に整っていたお庭も荒れ放題とのこと。
このままでは、防犯的にも、まちなみや景観的にもあまりよろしくないから、ということでのご相談でした。
そのときは、「また古民家だったらやりがいがあるな~」位にしか思っておらず、二つ返事で「それじゃあ、帰りに現地を見ておきますね!」と調子よく答えて、その場をあとにしました。
売買が決まった旧・矢野家を仲介する際、色んな方をご案内しました。
介護施設を経営されている女性社長や、医療や環境の塾を開きたいというお医者さん、もう何年も江戸時代の古民家を探されている外国人の方など・・・
購入には至らなくても、内見した誰もが美々津や旧・矢野家に魅力を感じていらっしゃいましたし、引き続き美々津で古民家を探して欲しいというご依頼も受けました。
売主さんや住民の方でさえ、美々津の古民家の価値に懐疑的だというのに、私は計り知れないポテンシャルを感じていました。それは、実際にお客様をご案内してきたからこそ感じられたものだと思っています。
そんなことを思い返しながら、新しくご依頼のあった物件にたどり着き、私は肩を落としました。

「ああ・・・思っていたよりも酷い・・・」
つづく